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原稿 · @right_droit4

25th Feb 2020 from TwitLonger

刑法Ⅴ③共犯類型(8ヶ)


◇教唆の成立要件
刑法166/ 966/ 教唆は,#人に犯罪遂行意思を生じさせ_犯罪を実行させること。人に犯意を生じさせるに足る教唆行為により,正犯に犯罪意思遂行意思が生じ,それに基づき実行行為が行われ,#その危険の現実化としてTB的結果発生要。正犯行為にTB該当性,Rwが認められる場合に教唆成立(制限従属性)。正犯の罪名と異なり得る。
[山口『刑法総論』3版334頁参照。決意(=犯罪遂行意思)を生じさせる,との表現もよく見る。]

◇未遂の教唆
刑法242/ 1149/ 未遂成立のためには,実行行為を惹起する意思に加え,#既遂を惹起する意思が必要なのと同様,教唆の要件として,正犯に犯罪遂行意思を惹起する認識・予見と共に,#正犯によって既遂が惹起されることの認識・予見を要する。∴未遂の教唆(アジャン・プロヴォカトゥール)には,#教唆の故意が認められず,不可罰。
[山口『刑法総論』3版334頁-335頁参照]

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〇幇助への関与
刑法判例18/ 正犯の幇助は可罰的(刑法62条1項)。従犯(幇助犯)の幇助も可罰的,#正犯を間接幇助するから(最判昭44・7・17参照)。ただし,正犯行為に対する促進・強化作用ある場合のみ。しかし,#教唆の幇助は不可罰。規定ない上,幇助は刑が減軽され(63条),教唆(・幇助)の教唆の処罰規定しかないから(61条2項反対解釈)。
[山口『刑法総論』3 版36頁-337頁(刑集23-8-1061)参照。正犯の幇助:可罰(62条1項)。幇助の幇助:正犯の間接幇助なら可罰。教唆の幇助:不可罰。/正犯の教唆:可罰(61条1項)。教唆の教唆:可罰(61条2項)。幇助の教唆:可罰(62条2項)。]

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〇共同正犯の範囲
刑法判例19/ 共同正犯は実行行為の分担実行があった場合に限る(形式的正犯概念)わけではなく,住居侵入窃盗などの見張りにも肯定(大判明28・12・19)。さらに,犯罪の謀議に関与したに過ぎない者にも共同正犯成立肯定(最大判昭33・5・28 など.共謀共同正犯)。構成要件的結果を共同惹起したかが判断基準になると解する。
[山口『刑法総論』3版338頁(順に,刑録1-5-89,刑集12-8-1718(練馬事件))参照]

◇練馬事件判決(共謀共同正犯)
刑法判例20/ 共謀共同正犯成立には,#二人以上の者が_特定の犯罪を行うため_共同意思の下に一体となり互いに他人の行為を利用し_各自の意思を実行に移す謀議をし,よって犯罪を実行した事実なければならず,共謀に参加した以上,直接実行行為に関与せずとも,#他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったといえる。
[山口『刑法総論』3版339頁(最判昭33・5・28刑集12-8-1718,練馬事件)参照

◇スワット事件判決など
刑法判例21/ 共謀に基づき犯罪実行あれば,共謀参加者は,実行行為分担有無を問わず,共同正犯たりうる。事前共謀,#現場共謀含む。具体的謀議行為がなくても,#共謀者間に暗黙の意思連絡あるにすぎない場合も,成立しうる。被告人が,#犯罪を共同遂行する合意の下_自己の犯罪を行う意思で関与した場合,共同正犯成立傾向。
[山口『刑法総論』3版339頁-340 頁(最決平15・5・1刑集57-5-507,スワット事件)参照。下級審判決には,実行行為の遂行・分担を行った者についても,自己の犯罪として関与してないとして共同正犯の成立を否定し,幇助として処罰したものもある。]

◇共謀共同正犯
[・共同正犯の範囲、換言すれば共同正犯と教唆・幇助との区別は、共同正犯が構成要件該当事実の共同惹起であるという理解から画されるべきである。共同正犯としての責任を負うために実行行為の分担が必要だとする理由は必ずしもない。実行行為の分担以外の方法で構成要件該当事実の惹起に重要な寄与を行った者は、教唆にならない限り、幇助として刑が減軽されることになり、刑の減軽の幅が大きいこともあり、相当と言えるかには疑問が生じうるからである。
この場合には、他の共同者と共同の意思に基づいて、構成要件該当事実惹起に重要な事実的寄与を果たすことによる、構成要件該当事実全体の共同惹起を基準とするべきである。その最終的基準は、共同惹起、すなわち構成要件的結果を共同で惹起した共同者の一員といえるかということである(実質的な共同惹起に着目する実質的正犯概念)。重要な事実的寄与はその重要な判断基準であるにすぎない。なぜなら、教唆は犯意の惹起という意味で極めて重要な事実的寄与であるが、だからといって共同正犯となるわけではないからである。]

刑法70/ 589/ 共同正犯の範囲(共同正犯と教唆・幇助の区別)は,#共同正犯は構成要件該当事実の共同惹起という理解から画されるべきであり,共同正犯としての責任を負うために実行行為分担を必要とする理由は必ずしもない。#実行行為分担以外の方法でも構成要件該当事実惹起に重要な寄与を行いうるから(共謀共同正犯)。
[山口『刑法総論』3版340頁参照。共謀共同正犯の肯否。実質的正犯概念]

刑法71/ 590/ 共謀共同正犯の成否は,他共同者と共同意思に基づき,#構成要件該当事実惹起に重要な事実的寄与(判断基準の一つにすぎない)を果たすことによる,構成要件該当事実全体の共同惹起を基準とすべき。#すなわち構成要件的結果を共同惹起した共同者の一員といえるかということ(実質的共同惹起,実質的正犯概念)。
[山口『刑法総論』3版341頁参照。共謀共同正犯成立の判断基準(実質的正犯概念)]

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略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。TB構成要件,Rw違法性(違法),S責任(有責性)
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