2020年▼3月(-11日)ツイート12:その他(行政法1;会社法1,民訴法4;刑訴法6)▼2月ツイート3:その他(憲法3)▼1月ツイート3:その他(刑法3)


2020年3月11日(その他1)
◇前訴の訴訟物が後訴の訴訟物の先決問題となる場合
民訴法132/ 1174/ 前訴訴訟物たる権利関係の存否の判断に既判力を生じるから,#この判断はそれを先決問題とする訴訟物につき審理する後訴裁判所を拘束。例:甲が乙に対し建物所有権確認訴訟を提起し勝訴判決後,甲がその所有権に基づき建物明渡請求提起した場合等。裁判所は,#甲所有を基礎とし,新事由にかかる主張等,審理。
[司法協会『民事訴訟法講義案』再訂補訂版277頁参照]


2020年3月10日(その他1)
◇取締役権利義務者と仮取締役について
商法155/ 1173/ 取締役が欠けた場合or法令・定款所定の員数が欠けた場合に,任期満了or辞任により退任した取締役は,後任者就職まで引き続き,#取締役権利義務者として従事(346条1項,#解任による終任含まず)。欠員が生じた場合(解任含む),裁判所は,必要と認めるときは,利害関係人の申立てにより,#仮取締役を選任可(2項)。
[『LEGAL QUEST 会社法』3版172参照]


2020年3月7日(その他2)
◇証人尋問決定後の退去強制と手続的正義の観点からの不公正
刑訴法135/ 1171/ #原供述者を証人採用し_被告人に証人尋問の機会を与えることが可能であったにもかかわらず_同じ国家機関である入管当局によりこれができなくなったときは,伝聞例外にあたるような場合でも,そのような公正な抗弁の機会を与えないまま原供述者の供述録取書を請求することは,手続的正義の見地から不公正。
[古江賴隆『事例演習 刑事訴訟法』初版(2011年)251頁(最判平7・6・20刑集49-6-741),刑訴法321条1項2号,参照]

刑訴法136/ 1172/ 手続的正義の観点から公正さを欠くかの判断は,強制送還の態様・時期,証人尋問決定時期,関係機関の連絡・調整状況などの諸事情の総合判断により利益衡量。具体的には,強制送還時期と証人尋問決定時期との関係,検察官・裁判所・出入国管理官署,被告人・弁護人の相互連絡・調整状況などが重要な判断要素。
[古江賴隆『事例演習 刑事訴訟法』初版(2011年)252頁(最判平7・6・20刑集49-6-741),刑訴法321条1項2号,参照]

2020年3月6日(その他1)
◇手続的正義の観点からの公正さを欠くとの要件の位置づけ
刑訴法134/ 1170/ #証拠請求することが手続的正義の観点から公正さを欠くと認められるときは_事実認定の証拠とすることが許容されないこともあり得る。これは,伝聞例外に限られず,広く民事・刑事の訴訟一般にあてはまるし(#証拠の許容性の問題),伝聞法則・例外という実質的正義を希求するものとは別個の法原理といえる。
[古江賴隆『事例演習 刑事訴訟法』初版(2011年)249頁-250頁,246頁(最判平7・6・20刑集49-6-741),刑訴法321条1項2号,参照]


2020年3月5日(その他5)
◇既判力の意義
民訴法129/ 1167/ 民事訴訟制度:#当事者間の法的紛争を_裁判所の公権的判断で解決する。裁判所・当事者拘束なければ,同一事項判断が不安定で,紛争を繰り返し,公権的解決が無意味。既判力:#一定標準時における権利or法律関係についての裁判所判断が_以後_当事者間で同じ事項判断の基準として強制通用力を持つという効果。
[司法協会『民事訴訟法講義案』再訂補訂版274頁参照]

◇既判力の本質および正当化根拠
民訴法130/ 1168/ 既判力は,当事者の攻撃防御が尽くされた結果に対してなされた裁判所の判断内容に終局性を与え,同一紛争の蒸し返しを許さないことで,法的安定と紛争解決を与えようとする,#訴訟制度内在の要請に基づく不可欠の制度的効力。その正当化根拠は,処分権主義・弁論主義採用による,#手続保障と自己責任にある。
[司法協会『民事訴訟法講義案』再訂補訂版275頁参照]

◇既判力の正当化根拠に着目した学説内部における2つの見解
民訴法131/ 1169/ 既判力の本質につき,正当化根拠に着目する学説内部に,(公権的解決)#制度的効力論を前提に_当事者に手続上対等に弁論し訴訟追行する地位と機会が付与されたことによる手続保障と自己責任を考える見解と,端的に手続保障と自己責任のみに着目し,より具体的手続保障の付与があったかを検討する見解がある。
[司法協会『民事訴訟法講義案』再訂補訂版275頁注1参照。
 後者の見解が,井上治典教授の第三の波の考え方のようである。参考:http://blog.tplo.jp/archives/3496405.html]

◇刑事裁判における手続的正義について
刑訴法133/ 1166/ 民事訴訟における手続的正義は,実体的真実に合致するか,具体的結論が正当かという観点で機能するものではない。このことは,実体的真実の発見がより重要と考えられる刑事裁判でも異ならない。#相手方当事者の論拠と証拠に抗弁する公正な機会(反対尋問の機会)付与が要請される(手続的公正,#手続的正義)。
[古江賴隆『事例演習 刑事訴訟法』初版(2011年)248頁-249頁〔24〕(最判平7・6・20刑集49-6-741)参照]

◇伝聞法則とは
刑訴法132/ 1165/ 原則として伝聞証拠には証拠能力は認められない(伝聞法則,320条1項)。伝聞とは,要証事実を直接に知覚した者(原供述者)からの伝え聞き(また聞き,hearsay)である。この伝聞証拠にあたり得るのは,①#供述書,②#供述録取書(以上,供述代用書面,321条1項柱書,198条4項,参照),③#伝聞証言(324条)の3つである。
[寺崎嘉博『刑事訴訟法』3版(2013年)416頁参照]


2020年3月4日(その他2)
◇国家補償について
行政法81/ 1164/ 国家補償とは,国または公共団体の活動に起因して私人に損害ないし損失が生じた場合に,国等がそれを補填すること(主に,講学上の概念)。
国家賠償:#違法その他の過誤ある国等の行為により生じた場合の損害補填制度(憲法17条)。
損失補償:#国家の適法な行為により生じた損失を補填する制度(憲法29条3項)。
[『LEGAL QUEST 行政法』3版289頁-290頁参照]


◇犯行計画メモの伝聞性
刑訴法131/ 1163/ 人の意思,計画を記載したメモは,その意思,計画の立証のためには,伝聞法則不適用。∵知識,記憶,表現,叙述を前提とする供述証拠と違い,#知覚_記憶を欠落するので,作成の真摯性が証明されれば,必ずしも反対尋問による信用性のテストを要しないと解される。数人共謀の共犯事案における犯行計画メモも同様。
[『刑事訴訟法判例百選』10版〔79〕(東京高判昭58・1・27判時1097-146)判旨参照]


▼2020年2月ツイート:その他(憲法3)

2020年2月26日(その他1)
◇ビラ配布規制の許容性判断基準
憲法113/ 1162/ ビラ配布規制:#その行為が主張や意見の有効伝達手段たることの表現の自由保障における価値_規制で確保できる他利益とを具体的状況下で較量し,許容性判断。形式的に刑罰法規該当行為というだけでの規制是認は不適当。配布場所状況,規制方法や態様,配布態様,意見の有効伝達のための他手段の存否等,考慮。
[伊藤正己・最判昭59・12・18刑集38-12-3026補足意見]


2020年2月17日(その他1)
◇宗教上の行為の自由(宗教的行為の自由,宗教的結社の自由)の限界
憲法112/ 1161/ #宗教上の行為の自由は,信仰の自由と違い,公共の安全,公の秩序,公衆の健康・道徳,他者の基本的権利・自由保護のため必要な制約に服するが,#必要不可欠な目的を達成するための最小限度の手段でなければならない。行動の自由規制とはいえ,内面的な信仰の自由に深くかかわるので,慎重な対処が求められる。
[芦部『憲法』5版(2011年)153頁,国際人権規約(自由権規約)18条,参照。R01(令元)予備]


2020年2月11日(その他1)
◇信教の自由の保障の限界
憲法111/ 1160/ ①内心の信仰に関する限り,19条同様,絶対的保障。②信仰の表現としてされた特定行為が,他者の人権と衝突する場合:厳格な審査基準(#必要不可欠な目的を達成するための最小限度の手段の有無か)による。but:当該行為のもたらす害悪でなく,信仰自体を悪として,行為を処罰・規制する⇒20条1項前段,2項違反。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 公法系』5版45頁参照。R01(令元)予備]


▼2020年1月ツイート:その他(刑法3)

2020年1月31日(その他1)
◇本来の行為共同説
刑法247/ 1159/ 行為共同説:#犯罪行為の全部にわたり共同である必要はなく_一部の共同でもよい。例:Aは強盗目的,Bは強姦目的で,相互に相手の目的を知らず,共同でXに暴行したが,目的不達成の場合,A強盗未遂,B強姦未遂で,暴行の限度で共犯。相手が加えた暴行の結果たる傷害にも責任負う。罪名必ずしも同じでなくていい。
[平野『刑法』総論Ⅱ(1975年)364頁-365頁参照]


2020年1月25日(その他2)
◇共犯の従属性
刑法245/ 1157/ 共犯の従属性は,①実行従属性,②要素従属性,③罪名従属性に分けうる。①正犯が現実に実行行為をしたことは,共犯成立要件か(#教唆したが_正犯が実行しなかった場合の教唆未遂の取扱い),②正犯行為に,TB該当,違法,有責,処罰条件という要件具備をどこまで要求するか,③共犯は正犯と同じ罪名であるべきか
[平野『刑法』総論Ⅱ(1975年)345頁-346頁参照]

刑法246/ 1158/ 実行従属性は,正犯行為(実行行為)が可罰的な段階に至ることを,共犯の成立要件とするものと解される。#これは未遂犯のTB該当性判断に帰するのであり,要素従属性(正犯行為はいかなる要件を備える必要があるか)に既に含まれている。罪名従属性も,#要素従属性による拘束をどのように理解するかに帰着する。
[山口『刑法総論』3版325頁-326頁,実行行為については,6頁LL6,参照]

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略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。
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ブログ: http://right-droit.hatenablog.com/archive

2019年12月ツイート6:その他(行政法4;民訴法1;刑法1),11月(24日-30日)ツイート4:その他(刑法5)
https://www.twitlonger.com/show/n_1sr5mmn

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