2020年3月(12日-29日)ツイート19:その他(憲法6;刑法13)


2020年3月29日(その他3)
◇混合惹起説
刑法260/ 1193/ 因果共犯論(惹起説)を採りつつ,#教唆・幇助の二次的責任性を考え併せると,正犯行為にTB該当性・Rwを要求すべき(混合惹起説)。正犯行為にTB該当性・Rwが認められる場合,教唆・幇助に法益侵害に対する因果性と有責性が認められる限り,教唆・幇助のTB該当性が認められ,Rw阻却・S阻却がない限り,共犯成立。
[山口『刑法総論』3版314頁-315頁参照]

◇他の共同者に違法性阻却が認められる場合
刑法258/ 1191/ AB共同で被害者を傷害した場合,Aへの侵害の急迫性があり,正当防衛成立なら,Bにも侵害の急迫性が認められ,他の要件がみたされれば,他人のための正当防衛が成立し,共同正犯はTB段階で認められても,Rw阻却され不成立。
#侵害の予期と積極的加害意思で侵害の急迫性否定⇒Bに正当防衛認められない場合あり。
[山口『刑法総論』3版333頁参照]

◇共同共犯と違法性阻却事由
刑法259/ 1192/ AB共同で被害者を傷害した事案で,Aへの侵害の急迫性があり,正当防衛成立する場合も,Bに,#侵害の予期と積極的加害意思があり,侵害の急迫性が否定され,or,#もっぱら攻撃の意思で行為したため防衛の意思が認められないとき,Bに正当防衛不成立。#正当防衛が成立するAと正当防衛が成立しないBとの共同正犯。
[山口『刑法総論』3版333頁(最決平4・6・5刑集46-4-245)参照]


2020年3月28日(その他5)
◇共同性(共同実行)
刑法256/ 1189/ 共同正犯は法益侵害の共同惹起形態で,一次的責任類型であり,従属性要件ではなく,#共同性(共同実行)が要件。共同実行の対象・意義については,特定の犯罪を共同して実行し,数人一罪となると解するのではなく(犯罪共同説),#行為を共同し各自の犯罪を実行する数人数罪をなすと解すべきである(行為共同説)。
[山口『刑法総論』3版315頁参照]

◇部分的犯罪共同説の不当性
刑法257/ 1190/ 不作為による殺人罪と保護責任者遺棄致死罪の共同正犯事案で,殺意あるAに殺人罪成立,殺意のないBと保護責任者遺棄致死罪の限度で共同正犯となるとされた(部分的犯罪共同説)。but,Aが実行行為分担せず,殺意のないBにより死の結果が惹起された場合,Aに殺人未遂罪も成立せず,#殺意が全く評価されず,不当。
[山口『刑法総論』3版318頁-319頁(最決平17・7・4刑集59-6-403,シャクティ治療殺人事件)参照]

◇間接正犯
刑法253/ 1186/ 間接正犯が認められるためには,TB的結果惹起の原因を支配した(#結果を直接惹起する他人の行為を_自己の犯罪実現のための道具として利用したといいうる)ことが必要。⇒利用者の行為に正犯性が肯定される。#これはTB要素であり_故意の認識対象なので,これについての事情を利用者が認識している必要あり。
[山口『刑法総論』3版70頁(最決平9・10・30刑集51-9-816)参照]

◇被害者の行為の介入
刑法254/ 1187/ 行為者の行為後,#TB的結果を瑕疵のない意思で惹起する被害者行為(意識的な自損行為・自傷行為・自殺行為)が介入した場合,間接正犯認められない。生命以外の法益については被害者意思に合致し,法益侵害性なし。後見的保護が認められる生命の場合,#法益侵害性あるが_正犯性なく,自殺関与罪のみ認め得る。
[山口『刑法総論』2版70頁-71頁参照]

◇適法行為の介入
刑法255/ 1188/ 第三者の行為によりTB的該当事実を生じさせたが,#第三者の行為はRw阻却事由により処罰対象とならない場合,背後者に間接正犯成立するか。
#TB的結果惹起の支配(正犯性)を肯定する余地あり。
国際宅配便利用の大麻密輸事案で,コントロールド・デリバリーされた場合も,禁制品輸入罪(既遂)の間接正犯成立。
[山口『刑法総論』3版73頁-74頁(最決平9・10・30刑集51-9-816)参照]


2020年3月27日(その他2)
◇正犯性
刑法251/ 1184/ 単独正犯における正犯性が認められるのは,TB的結果惹起の原因を支配した場合。これは,#TB的結果について十分な認識・予見をもちつつ直接惹起した者に認められる。このような正犯性(結果惹起原因の支配)が認められる行為者の行為を実行行為という。∴原則,故意以前に遡って結果惹起の正犯責任追及不可。
[山口『刑法総論』3版68頁参照]

◇他人の答責性(自律性)
刑法252/ 1185/ 行為者の行為とTB的結果との間に,結果を物理的に惹起する他人の行為が介在する場合,#当該結果惹起についてその他人に答責性(自律性)があれば,その限りで行為者の支配の観念を排除する。その他人自身の責任における結果惹起と評価される。#他人の故意行為の介入の有無が,正犯性判断の重要な基準となる。
[山口『刑法総論』3版69頁参照]


2020年3月26日(その他3)
◇公判廷における取材活動
憲法117/ 1181/ 報道の自由は憲法21条の表現の自由に属し,#そのための取材活動も認められる。but,#国民はその自由を濫用してはならず無制限なものではない(12条)。裁判の対審・判決の公開は審判の公正さを保障する趣旨なので,たとい取材活動とはいえ,#審判秩序を乱し訴訟関係者の正当な利益を害するものは許されない。
[最大判昭33・2・17刑集12-2-253『判例プラクティス 憲法』増補版〔120〕(北海タイムス事件)参照]

◇取材フィルム提出命令
憲法118/ 1182/ 被疑者・被害者の特定すら困難で,#現場を中立的立場から撮影した報道機関の本件フィルムが証拠上きわめて重要な価値を有し,罪責判定上,ほとんど必須もの。他方,#報道機関の蒙る不利益は_報道の自由そのものではなく_将来の取材の自由を妨げられるおそれにとどまる。この程度の不利益は忍受されるべき。
[最大判昭44・11・26刑集23-11-1490『判例プラクティス 憲法』増補版〔121〕(博多駅事件)参照]

◇検察による取材テープ押収
憲法119/ 1183/ Aは現金提供の趣旨を争っており,本件テープは証拠上極めて重要な価値を有し,事件の全容解明・犯罪成否の判断の上で,#ほとんど不可欠のもの。他方,X(日本テレビ)の受ける不利益は,マザーテープであるとしても,差押当時はすでに編集を終えており放送に支障はなく,将来の取材上の不利益があるにとどまる。
[最判平元・1・30刑集43-1-19『判例プラクティス 憲法』増補版〔122〕(日本テレビ事件)参照]


2020年3月25日(その他2)
◇結合犯説
刑法250/ 1180/ 事後強盗罪は身分犯ではなく,「窃盗が,..暴行又は脅迫をしたときは」とは,#窃盗の罪を犯し,..暴行又は脅迫をした者は,という意味。∵身分犯と解する場合,「窃盗」に窃盗未遂犯人も含むと解すると,暴行・脅迫により事後強盗既遂罪が成立することになり,#これを事後強盗未遂とする一般の解釈と食い違う。
[山口『刑法各論』2版227頁参照]

◇横領行為の要件をなす不法領得の意思について
刑法249/ 1179/ 横領行為の要件をなす不法領得の意思は,#他人の物の占有者が委託の任務に背いて_その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思とされる(判例)。but,#利用意思こそが責任加重を基礎づける本質的要素であり,不法領得の意思とは,#委託の趣旨に反した_物の利用意思と解すべき。
[山口『刑法各論』2版305頁(最判昭24・3・8刑集3-3-276)参照]


2020年3月17日(その他1)
◇預金による金銭の占有
刑法248/ 1178/ 委託された金銭の保管手段として預金する場合,#預金による金銭の占有肯定(判例,占有概念の拡張)。∵否定すれば,払い戻した金銭の横領しか問えず,金銭を手にしない振込・振替送金では,背任罪が問題となるにとどまり,均衡を失する。
#払戻権限で,占有の有無を決する。
#一定の金額の占有(物概念の拡張)。
[山口『刑法各論』2版295頁(大判大元・10・8刑録18-1231,最判昭25・2・24刑集4-2-255)参照]


2020年3月15日(その他1)
◇有害図書の包括指定は憲法21条1項違反か
憲法116/ 1177/ 著しく性的感情を刺激or著しく残忍性を助長するため,青少年の健全育成阻害のおそれある図書(有害図書)の,自販機販売は,心理的に容易で,書店等での販売より弊害大。個別指定前に販売する脱法的行為に対処するため,包括指定は必要・合理的。⇒#成人への流通を幾分制約するものの_必要やむをえない制約。
[最判平元・9・19刑集43-8-785(岐阜県青少年保護育成条例事件)『判例プラクティス 憲法』増補版〔133〕]


2020年3月13日(その他1)
◇大学における学生の集会
憲法115/ 1176/ 学問の自由は,学問的研究,発表の自由を含み,すべての国民に保障される。多面,真理探究を本質とする大学における教授その他の研究者の研究,発表,教授の自由・自治も保障する。#大学における学生の集会が真に学問的研究_発表のものでなく_実社会の政治的社会的活動ないし公開の集会にあたる場合,対象外。
[最大判昭38・5・22刑集17-4-370,東大ポポロ事件判例,参照]


2020年3月12日(その他1)
◇個別の検察官の定年延長
憲法114/ 1175/ #戦前,司法大臣が個別の検察官の定年延長をできると,1937年に裁判所構成法を変更(#個別の検察官の定年延長)。but,#日本国憲法施行と同時に裁判所構成法が廃止され_検察庁法になり,当該条文削除。#検察_準司法的機関_に対する行政権の介入を一切させるべきではない。 2:44-4:10 https://twitter.com/mizuhofukushima/status/1237959913134903296?s=20
[参考: https://twitter.com/right_droit/status/1238001037564186624?s=20]

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略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。
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2020年▼3月(-11日)ツイート12:その他(行政法1;会社法1,民訴法4;刑訴法6)▼2月ツイート3:その他(憲法3)▼1月ツイート3:その他(刑法3)
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