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6th Apr 2020 from TwitLonger

2017年9月分ツイート: 48ヶ(憲法2,債権総論1,契約法2,要件事実1,民訴法1,倒産法5;刑法19,刑訴法16;論点1)


2017年9月30日(1)

債権総論8/ 349/ 連帯債務者の1人が弁済他の免責行為をする前に他の連帯債務者へ通知を怠った場合(#民法443条1項)、#既に共同の免責を得ていた他の債務者に、2項による自己の免責行為の有効を主張できない。2項は1項を前提とするのであり、1項の事前通知に過失ある連帯債務者を保護する趣旨ではないから。
 最判昭57・12・17民集36-12-2399(『判例プラクティス民法Ⅱ債権』〔85〕88頁)参照。[法的判断枠組み(条文解釈、判例)。
1. あんまりしっくり来ない。民法443条1項には、「債権者に対抗することができる事由」と規定されており、これは、「共同の免責」(特に2項のそれとの違い重要)とは別の意味であると考えると(上記文献88頁解説2参照)、判例の理解とは異なる結論も可能であるようにも思う。
2. よくわからないが、とにかく、443条1項が前提(原則)であり、それ(事前の通知)を怠れば、相殺適状、同時履行の抗弁権を有する他の連帯債務者にだけでなく、共同の免責を得ていた他の連帯債務者にも対抗できないということであろう(判例の結論)。
3. しかし、共同の免責を得ていた連帯債務者が事後通知を怠っていた場合、すなわち、過失ある場合にまで、事前の通知をしなかった連帯債務者を不利に扱うのは、条文の文言に反するのではないだろうか?]


2017年9月29日(1)
人権33/ 348/ 「宗教団体」(憲法21条1項後段)、「宗教上の組織若しくは団体」(同89条)は、宗教とかかわり合いある行為を行っている組織・団体すべてを意味するのでなく、政教分離原則に反するもの、すなわち、#特定の宗教の信仰・礼拝・普及等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする組織・団体を指す。
 最判平5・2・16民集47-3-1687(『判例プラクティス憲法』増補版〔68〕97頁)参照。[法的判断枠組み(文言の意義、判例)]


2017年9月25日(1)
モーメント2/ https://twitter.com/right_droit/status/912253496694419457

刑訴法42/ 公判20/ 347/ 供述者本人に刑訴法321条1項事由あるとき、供述証拠に証拠能力を認めたのは「#公判準備・公判期日における供述」(324条参照)にかえ書類を証拠とすることを許したものだから、321条1項により証拠能力を認むべき供述調書中の伝聞にわたる供述は「公判準備・公判期日における供述」と同等。
 最判昭32・1・22刑集11-1-103(『ケースブック刑事訴訟法』3版有斐閣593頁)参照。[法的判断枠組み(判例。条文解釈)。再伝聞]


2017年9月21日(6)
刑訴法41/ 公判19/ 346/ 犯罪事実の存在を要証事実とする実況見分調書や写真撮影報告書等の証拠能力は、刑訴法326条の同意なき場合、321条3項要件充足を要するほか、再現者の供述の録取部分、写真については、再現者が被告人以外の者の場合、#321条1項2号・3号、被告人の場合、322条1項の要件充足を要する。
 最判平17・9・27刑集59-7-753(『刑事訴訟法判例百選』10版〔83〕190頁)参照。[法的判断枠組み(法律要件、判例)。R21②設問2。]

刑訴法40/ 捜査20/ 345/ 捜索差押えの際の写真撮影は、#付随処分として許される場合がある。例えば、証拠物の証拠価値保存、手続の適法性担保のためのものであれば、1通の令状で、どこでも捜索し、何でも押収するということにはあたらず、司法的抑制の理念に基づく令状主義の趣旨(#一般令状の禁止)に反しないからである。
 平成21年度刑事系第2問出題趣旨7頁、『刑事訴訟法講義案』四訂版64頁、65頁、参照。[法的判断枠組み(法制度の意義・趣旨からの解釈)、R21②。]

刑訴法39/ 捜査19/ 344/ 捜査機関の請求による令状発付につき、裁判所・裁判官は当該強制処分の必要性も判断する。#司法的抑制の理念に基づく令状主義の趣旨を十分活かすためである。逮捕状については、犯罪の嫌疑(刑訴法199条1項2項)に加え、逮捕の必要性(199条2項ただし書、規則143条の3)の判断も要する。
 『刑事訴訟法講義案』四訂版65頁参照。[法的判断枠組み(強制処分の必要性の判断の可否・要否)]

刑訴法38/ 捜査18/ 343/ 逮捕状には、逮捕の理由となる犯罪の明示(憲法33条)、捜索・差押状は、捜索する場所・押収する物の明示を要する(同35条)。後者は場所・物を限定する趣旨である。1通の令状さえあれば、どこでも捜索し何でも押収できるというのでは、令状主義が意味をなさないからである(#一般令状の禁止)。
 『刑事訴訟法講義案』四訂版64頁、65頁参照。[法的判断枠組み(令状主義の趣旨)]

刑訴法37/ 捜査17/ 342/ 令状主義(憲法33条、35条)は、逮捕、差押えなど最も人権侵害の危険のある強制処分につき、捜査機関の判断だけに任せるのでなく、原則として、#裁判官の事前の判断(令状)を要求する制度である。全くの無実の者が拘束されるといった事態も避け得る。強制処分に対する司法的抑制の理念に基づく。
 『刑事訴訟法講義案』四訂版64頁参照。[法的判断枠組み(令状主義の意義)]


要件事実11/ 341/ 売買契約に基づく代金支払請求訴訟の請求原因には、代金支払時期の記載は不要。なぜなら、代金支払債務の履行時期は売買契約の本質的要素でなく、付款(期限)にすぎないからである。したがって、#目的物・代金額の確定(原告は、被告に対し、◯年◯月◯日、目的物を一定の代金額で売った)で足りる。
 受験新報728号(2011年10月号)13頁参照。[法的判断枠組み]


2017年9月20日
/最判昭44・6・25刑集23-7-975(百選Ⅱ7版21事件)は、「・・・相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、」との判文です。お間違えないように。
これは制限故意説のように読めますが(大越『刑法各論』3版89頁、等参照)、私は制限責任説の立場から、『責任』阻却と変えています
https://twitter.com/right_droit/status/910045071386361858

/山口『刑法各論』2版、143頁~148頁も今読んでいるところで、読み終わっておらず、私の理解が間違っていたら、すみません。^^;)
https://twitter.com/right_droit/status/910045443211501570

/本ツイッターの #利用方法のご提案:①本ツイートを見たときに1~2分、関係論点について思いを巡らす。②自分の基本書等での確認。③自分ならこうまとめるとリプライ。④本ツイートの間違い・疑問等の指摘リプライ。⑤間違い・疑問等DM。⑥自分の法律ツイッターボット立ち上げ契機とする。等々。
https://twitter.com/right_droit/status/910005242745384960

2017年9月18日(4)
民訴法59/ 340/ 権利者の意思により行使されることで、権利者は権利内容たる利益を享受する。それゆえ、#留置権のような権利抗弁は、弁済・免除等の事実抗弁を構成する事実関係の主張あれば、どちらの当事者による主張か問わず、常に裁判所が斟酌するのと異なり、権利行使意思の表明を要する(民訴法246条参照)。
 最判昭27・11・27民集6-10-1062(『民事訴訟法判例百選』5版〔51〕110頁)参照。[法的判断枠組み(基礎理論)。民訴法246条=旧法186条。]

刑訴法36/ 公判18/ 339/ 検察官側は、①弁護人による罪証隠滅、証人威迫等の危険、②他事件の捜査上の秘密が含まれ、公にできない、③関係者の名誉・安全を守るため、などの理由で #事前の全面開示 を拒否。弁護人側は、④捜査機関収集証拠の全体像を把握し防御方針決定が必要、⑥被告人に有利な証拠もあるはず、など主張。
 寺崎『刑事訴訟法』3版262頁、263頁参照。[法的判断枠組み(制度の背景)]

刑訴法35/ 公判17/ 338/ 公訴提起後、弁護士は、裁判所で書類・証拠物の閲覧・謄写ができる(#刑訴法40条1項)。また、当事者双方は、#証拠調べ請求証拠について、あらかじめ相手方に、証人などの氏名・住所を知る機会、証拠書類などを閲覧する機会を与えねばならない(#299条1項、#規則178条の6第1項1号)。
 寺崎『刑事訴訟法』3版262頁参照。[法的判断枠組み(条文制度)]

刑訴法34/ 公判16/ 337/ 公判前整理手続に証拠開示規定がある。その特徴は、①開示すべき証拠を、#証拠調べ請求証拠(刑訴法316条の14、同条の18)、#類型証拠(同条の15)、#主張関連証拠(同条の17、同条の20)に分けていること、②証拠開示についての裁定規定(同条の25~27)を置いていることである。
 寺崎『刑事訴訟法』3版266頁・267頁、263頁参照。[法的判断枠組み(条文制度)]


2017年9月17日(4)
刑訴法33/ 公判15/ 336/ 被告人・弁護人は、#証明予定事実を記載した書面の送付を受け、かつ、#刑訴法316条の14第1項・同条の15第1項2項の規定により開示すべき証拠の開示を受けた場合、被告人側の証明予定事実、事実上・法律上の主張あるときは、裁判所、検察官に対し明示要(刑訴法316条の17第1項前段)。
 刑訴法316条の17第1項前段、寺崎『刑事訴訟法』3版269頁、266頁・267頁、268頁、参照。[法的判断枠組み(条文)]

刑訴法32/ 公判14/ 335/ A供述の信用性判断につき、当然、#Aが従前取調べで新規供述についてどのように述べていたか問題になるから、当該供述に係る検察官調書等の信用性を争う弁護人主張と本件メモとには、一定の関連性がある。開示の必要性もある。開示に特段弊害もない。したがって、開示相当(刑訴法316条の20)。
 最決平20・9・30刑集62-8-2753(『刑事訴訟法判例百選』10版〔54〕124頁)参照。[事実の分析・評価例]

刑訴法31/ 公判13/ 334/ 本件メモは、警察官としての職務執行に際しその執行のため作成したもので公的性質を有し、職務上保管するものといえる。したがって、本件メモは、本件捜査過程で作成され、#公務員が職務上現に保管し・かつ・検察官に入手が容易なものなので、証拠開示命令(刑訴法316条の26第1項)対象となる。
 最決平20・9・30刑集62-8-2753(『刑事訴訟法判例百選』10版〔54〕124頁)参照。[事実の分析・評価例。辰巳『趣旨・規範ハンドブック』刑事系5版249頁。]

倒産法41/ 破30/ 333/ 対抗要件充足行為は、破産者の行為・これと同視すべきものに限り否認できる(破164条1項参照)。
仮登記仮処分命令による仮登記は権利者単独申請だが(不登法107条1項)、#共同申請仮登記と効力は違わず・義務者の処分意思が明確な文書等を通常要することから、破産者の行為と同視し否認可。
 最判平8・10・17民集50-9-2454(『倒産法判例百選』5版〔39〕80頁)参照。[法的判断枠組み。事実の分析・評価例]


2017年9月16日(1)
刑訴法30/ 捜査16/ 332/ 検察官による人の容ぼう等の撮影が、現行犯・準現行犯の場合のほかは許されないというわけではない。
#捜査機関がXを犯人と疑う合理的理由あり、かつ、強盗殺人等捜査に関し、防犯ビデオに写っていた犯人特定の証拠資料入手のため必要限度での、公道上のX、不特定多数の集まるパチンコ店内のXの容ぼう等の撮影であり、#通常人が他人から容ぼう等を観察されること自体受忍せざるを得ない場所のもの。
⇒これらのビデオ撮影は、捜査目的達成のため、必要な範囲において、かつ相当な方法によって行われたものといえ、捜査活動として適法である。
 最決平20・4・15刑集62-5-1398(『刑事訴訟法判例百選』10版〔8〕18頁)参照。[事実の評価例]


2017年9月13日(1)
その他1/ 司法試験合格、おめでとうございます!

29年度受験5967人、短答合格3937人、最終合格 #1543人(うち予備試験合格290人)。合格者総数ほぼ維持。
28年度順に、6899人、4621人、1583人(235人)。
27年度、8016人、5308人、1850人(186人)。
21:31 - 2017年9月13日
https://twitter.com/right_droit/status/907944766838513664

刑訴法29/ 公判14/ 331/ 捜査機関が強制処分として行う検証(#刑訴法218条_220条1項2号)の結果を記載した書面のみならず、#任意処分として行う検証の結果を記載した書面(#実況見分調書)も、書面の性質として検証調書と全く同じと解せるので、#321条2項所定の書面に含まれる。検死調書(229条)も同様。
『刑事訴訟法講義案』四訂版295頁(最判昭35・9・8刑集14-11-1437)、R21②設問2、参照。[法的判断枠組み(条文の守備範囲)。辰巳『趣旨規範ハンドブック』刑事系5版278頁1つ目の論点参照。]

2017年9月11日(1)
刑法各論20/ 330/ 物の返還請求権を免れるため、#横領の手段として本人を欺く行為がなされた段階で委託物横領罪が成立し、所有権侵害がすでに処罰対象となっているので、同一利益に向けられた2項詐欺罪は不可罰的事後行為として別途の処罰対象とはならない。不可罰的な行為に向けられた行為として、未遂も成立しない。
山口『刑法各論』2版312頁、313頁参照。[法的判断枠組み(2つの犯罪の関係)
モーメントに追加、書替え。
https://twitter.com/i/moments/903875373439492096
平成21年度刑事系科目第1問(検討中)預金の占有2、他4、間接正犯3、共犯と錯誤1、片面的共犯3、業務上横領罪1、偽計業務妨害1、計15。
甲、80万円、①業務上横領における預金の占有、②電子計算機使用詐欺(業務上横領の不可罰的事後行為で不成立)、③私電磁的記録不正作出(被害者はA?銀行?)、④建造物侵入(違法目的での立ち入り。これと①③は牽連犯)、間接正犯、共犯関与形態間の錯誤。120万円、共犯関与形態間かつ異なった構成要件間の錯誤、業務上横領等の間接正犯の認識・予見で、窃盗幇助。⑤監禁(同意)。乙、80万円、片面的幇助、共犯と身分。120万円、⑥窃盗+③④。甲乙、⑦偽計業務妨害。罪数(かすがい現象)、等。]


2017年9月10日(2)
論点1/ 329/ 21年刑法①:①#預金の占有(業務上横領)、②電子計算機使用詐欺、③私電磁的記録不正作出、④建造物侵入(違法目的、かすがい現象)、⑤間接正犯、⑥関与形態間・異なったTB間の錯誤(業務上横領罪の間接正犯の認識で窃盗幇助)、⑦共犯と身分。⑧片面的幇助。⑨同意監禁、⑩偽計業務妨害。等。
平成21年度刑事系第1問参照。[論点抽出。https://twitter.com/i/moments/903875373439492096]

人権32/ 328/ 0、①いかなる権利?
1、#保護範囲、②憲法上保障されているか、③人権共有主体性、④保障されているとしても何らかの制約原理(実質的公平の原理、パターナリスティックな制約、裁判の公正、等)、⑤合憲・違憲審査基準。
2、#制限の有無の認定。⑤の基準による審査(#正当化)。
3、結論。
村田浩一『憲法合格答案の書き方』14頁~18頁、辰巳『趣旨・規範ハンドブック』公法系5版5頁、木村『憲法の急所』2版9頁、11頁等、参照。[法的判断枠組み(憲法試験論文の構成)。
憲法論文の答案構成例。いくつかさらっと読んで見ましたが、それでも書き方よくわかりません。一応の暫定的なものです。ドイツ流の三段階審査を、いざ法的三段論法にあわせて書く場合、こんな感じになるのかな~と思って、まとめました。
タテ0が問題提起。
タテ1の部分が大前提たる法的判断枠組み(定義、規範等)の構築の部分にあたり、この部分は基本書等で獲得する知識であり、スマートに、コンパクトに書く。
タテ2が、小前提たるあてはめ、事実の分析、評価部分。事実のピックアップ間違いなきように、また、その評価も、他人が納得できるように説得的に、ていねいに書く。
そして、タテ3、結論。
特に③人権共有主体性が問題となる場合には、この部分にも、規範定立要だろう。]

2017年9月7日(4)
刑法各論19/ 327/ 自己が管理する他人の土地を第三者に売却し所有権移転登記をしたが、先行して当該土地に無断で抵当権設定をしていた場合、ほしいままに抵当権設定・登記後も、その不動産は他人物なのだから、ほしいままに売却し所有権移転登記すれば、#さらに横領罪成立。不可罰的事後行為ではない。後者のみ処罰可。
山口『刑法各論』2版311頁、312頁(最大判平15・4・23刑集57・4・467)参照。[事実の分析・評価例(判例)。同一被害者の同一被害物について同一構成要件の罪が成立する場合、後者のみ処罰される、ということだろうか?おそらくそうだろうと思ったが、詳しいことは、判例の原文・評釈をあたらなければわからない。後日、訂正可能性あり。]

刑法各論18/ 326/ 行為者が委託物を、#もっぱら本人のために処分する意思で、費消した場合、不法領得の意思が否定され委託物横領罪、不成立。#法令に違反する行為であっても、その意思は認められうる。
町長が行政事務に属さない町会議員慰労の饗応その他に町の公金を支出した場合などは、もっぱら要件をみたさない。
山口『刑法各論』2版310頁参照。[法的判断枠組み、事実の評価例]

刑法各論17/ 325/ 横領罪における不法領得の意思は、#委託の意思に反した物の利用意思である。委託物横領罪では占有侵害が存在しないため、権利者の占有侵害に関わる排除意思は要件とされない。しかし、利用意思こそが責任加重を基礎づける本質的要素だからである。不法領得の意思を外部に発言させる行為あれば、既遂。
山口『刑法各論』2版305頁、306頁参照。[法的判断枠組み(下位規範)。横領行為の要件である不法領得の意思の意義。]

刑法各論16/ 324/ 「横領」(刑法252条)とは、#不法領得の意思を実現する一切の行為をいう。委託物横領罪の法定刑が器物損壊罪の法定刑より重いのは、窃盗罪の場合と同様、#物の効用の取得という強力な動機の存在に基づく責任加重に求めるべきだからである。したがって、他人の物を毀棄する行為は横領は含まない。
山口『刑法各論』2版305頁参照。[法的判断枠組み(文言の意味)。領得行為説。これに対し、委託物横領罪の「委託」とは、委託の趣旨に反する権限逸脱行為であるとする見解もある(越権行為説)]

2017年9月6日(6)
倒産法40/ 破28/ 323/ 敷金契約は賃貸借とは別個だし、敷金返還請求権は建物明渡時の残額の存在を停止条件とする。なので、賃貸人破産で賃借人の債権は財団債権でも(破56条2項)、別個契約に基づく敷金返還請求権は破産債権。もっとも、#充当期待ある債権として弁済する賃料の寄託を破産管財人に請求可(70条後段)。
山本和彦『倒産処理法入門』4版83頁参照。[法的判断枠組み(条文制度の説明)]

倒産法39/ 破27/ 322/ 賃貸人破産により、賃借人が自己の生活・事業の本拠を失うのは相当でないので、#賃借人が対抗要件具備(借地契約で借地人名義で登記された建物、借家契約で建物引渡しなど)の場合、#双方未履行契約における管財人の解除権は制限される(破56条1項)。賃借人の使用収益権等は財団債権化(2項)。
山本和彦『倒産処理法入門』4版82頁、83頁参照。[法的判断枠組み(条文制度)]

倒産法38/ 破26/ 321/ 相手方に倒産手続開始の申立てがあった場合に契約を解除できる旨の倒産解除特約は、双方未履行契約について管財人の側にのみ解除権を認めている倒産実体法の規律の潜脱といえる。そこで、#再建の保護という観点から、再建型手続(再生手続、更正手続)においては、このような特約の効力を否定すべき。
山本和彦『倒産処理法入門』4版82頁(最判昭57・3・30民集36-3-484、最判平20・12・16民集62-10-2561)参照。[法的判断枠組み(解釈)]

倒産法37/ 破26/ 320/ 破産手続開始決定時の双方未履行双務契約は、破産管財人が破産財団に有利な契約を存続させ、不利な契約を解除できる(#破53条1項)。履行選択された契約相手方の債権は財団債権(148条1項7号)。解除相手方の損害賠償債権は破産債権に、取戻権保護、それに相当の価額の財団債権化(54条)。
山本和彦『倒産処理法入門』4版81頁参照。[法的判断枠組み(条文制度)]

刑訴法28/ 捜査15/ 319/ 刑事訴訟手続の被告人・被疑者、弁護人は、あらかじめ証拠保全しておかなければその証拠使用が困難な事情あるとき、第1回公判期日前に限り、裁判官に、#証拠保全請求できる(刑訴法179条)。職権では認められていない。他方、民事訴訟手続には、裁判所による証拠保全手続あり(民訴法237条)。
TKC基礎力確認テスト平成23年度第2回[短答式]全国実力確認テスト、刑事系科目第21問、寺崎『刑事訴訟法』3版214頁、参照。[法的判断枠組み(条文、制度比較)]

刑訴法27/ 捜査14/ 318/ 勾留され、あるいは勾引状により刑事施設に留置されている被告人は、法令の範囲内で、#弁護人以外の者と接見し、書類・物の授受ができる(刑訴法80条)。勾留されている被疑者(207条1項による準用)、鑑定留置中の被告人(167条5項)も同様。接見禁止(81条)、接見立会いなど制約あり。
TKC基礎力確認テスト平成20年度第1回[短答式]全国実力確認テスト、刑事系科目第28問解説、寺崎『刑事訴訟法』3版207頁、参照。[法的判断枠組み(条文知識)]


2017年9月5日(2)

刑法各論15/ 317/ 委託物横領罪は、①#物の所有権が第一次的な保護法益であり、②委託関係、すなわち、#委託に関する財産上の利益が、副次的保護法益である。窃盗罪における占有侵害に対応する法益侵害だが、#委託関係は物の占有よりも弱いものなので、法定刑は軽い。#賃借権や質権を侵害しても横領罪は成立しない。
山口『刑法各論』2版288頁(大判明44・10・13刑集17-1698)、289頁参照。[法的判断枠組み(保護法益)]

刑法各論14/ 316/ 他人の物の占有者でない者(非身分者)が、業務上占有者(身分者)による業務上横領罪の構成要件実現に共働した場合、#刑法65条1項は違法身分犯_同2項は責任身分犯を対象とするので、1項により違法身分犯たる委託物横領罪の共犯成立、身分者に2項により責任身分犯たる業務上横領罪の共犯成立。
山口『刑法各論』2版315頁、314頁(最判昭32・11・19刑法11-12-3073のような処理は、非身分者について罪名と科刑の分離を認める点で妥当でない。なぜなら、科刑は犯罪が成立する限度で正当化されるものであり、科刑と罪名とを一致させることが処罰を受ける者にとって理解が容易となるからである。)、313頁参照。[法的判断枠組み(学説)]


2017年9月4日(4)
刑法各論13/ 315/ 預金の占有は、事実上の処分可能性でなく、#銀行および預金者に対する関係で認められる預金の払戻権限で基礎づけられる。払戻権限を有する者に(一定の金額につき)預金の占有が認められる。預金通帳と登録印鑑を窃取した犯人が払戻しを行った場合、払戻権限がないので銀行に対する詐欺罪が成立する。
山口『刑法各論』2版295頁(最判昭25・2・24刑集4-2-255)参照。[法的判断枠組み(法的概念に該当するかの判断基準)] R21①参照。

刑法各論12/ 314/ 委託された金銭の保管手段として預金する場合、預金による金銭の占有を否定すれば、#払い戻す金銭につき横領罪が問題になるが、#振込・振替送金の場合に金銭を手にしないので、#委託物横領罪は成立せず背任罪が問題となるにどどまり均衡を失する。したがって、#預金による占有を肯定すべきである。
山口『刑法各論』2版295頁(大判大元・10・8刑録18-1231)参照。[法的判断枠組み(基礎理論)] R21①参照。

刑法総論25/ 313/ 教唆、幇助、共同正犯、単独正犯(間接正犯)は、構成要件該当事実の異なった惹起形態にすぎないので、これらの間で実質的に軽い惹起形態の限度で実質的符合を認め、その限りで、#客観的に実現された事実と認識・予見されていた事実の共通部分につき、犯罪の成立を肯定できる(#関与形態間の錯誤)。
山口『刑法総論』3版364頁参照。[法的判断枠組み(基礎理論)]

刑法総論24/ 312/ ①教唆の意思で幇助となった場合、幇助(共通部分)成立。②幇助の意思で教唆となった場合も幇助成立。③間接正犯の意思で教唆となった場合、教唆成立。④教唆の意思で間接正犯となった場合も教唆成立。なお、③の場合、被利用者が気づかずに実行する可能性があるので、#間接正犯の未遂も成立しうる。
山口『刑法総論』3版365頁参照。[事実の分析・評価例]

モーメント1/
平成21年度刑事系科目第1問(検討中)預金の占有2、他2、間接正犯3、共犯と錯誤1、片面的共犯3、偽計業務妨害1、計12ツイート/
甲、80万円、①業務上横領における預金の占有、②電子計算機使用詐欺、③私電磁的記録不正作出(②③観念的競合、それと①は法条競合、法定刑が同一、どちらに吸収させるか?)、④建造物侵入(違法目的での立ち入り。これと①②③は牽連犯)、間接正犯、共犯(の関与形態間)の錯誤。120万円、共犯(の異なった構成要件間)の錯誤、業務上横領等の間接正犯の認識・予見で、窃盗幇助。⑤監禁(同意)。乙、80万円、片面的幇助、共犯と身分。120万円、⑥窃盗+②③④。甲乙、⑦偽計業務妨害。罪数(かすがい現象)。
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2017年9月3日(5)
刑法各論25/ 311/ 私電磁的記録不正作出罪(刑法161条の2第1項)は、#人の事務処理を誤らせる目的で_事務処理の用に供する権利・義務_事実証明に関する電磁的記録を不正に作った場合。公電磁的記録不正作出罪(同条2項)は、公務所・公務員により作られるべきとき、それらの供用罪は未遂も罰する(3項4項)。
山口『刑法各論』2版473頁参照。[法的判断枠組み(条文)]

刑法各論24/ 310/ 財産権の得喪・変更に係る電磁的記録(刑法246条の2)は、作出・更新により、#直接_事実上_当該財産権の得喪・変更を生じるもの。銀行の顧客元帳ファイルの預金残高記録、カードの残度数など。カードの磁気ストライプ部分中の記録や不動産登記ファイルなどは一定事実証明のもので、あたらない。
山口『刑法各論』2版275頁参照。[法的判断枠組み。事実の分析・評価例]

刑法各論23/ 309/ 拾得・窃取したキャッシュカードを使用し現金自動支払機で、#振替送金したときなど、電子計算機使用詐欺罪(刑法246条2)が処罰する。①財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録の作成、②財産権の得喪・変更に係る虚偽の電磁的記録の供用により、財産上不法の利益を得たとき等に限り処罰する。
山口『刑法各論』2版274頁参照。[法的判断枠組み(条文)] R21①参照。

契約法2/ 308/ 賃借権の無断譲渡につき、民法612条2項は、賃借人が賃貸人の承諾なく賃借権を譲渡または賃借物を転貸し第三者に賃借物の使用または収益をなさせた場合に、賃貸人が賃借人に対し基本である賃貸借契約までも解除しうるとしたに過ぎず、#解除までの承諾なき譲渡・転貸の有効性を定めたものではない。
受験新報799号98頁参照。[法的判断枠組み(判例)]

契約法1/ 307/ 賃借権の無断譲渡・無断転貸にあたれば、賃貸人は賃借人との原賃貸借契約を解除できる。賃借権の譲受人や転借人は利用権を賃貸人に対抗できない(民法612条1項参照)。逆に、#背信行為といえない特段の事情ありあるいは信頼関係が破壊されたといえない場合、承諾ある場合と同様の法律関係となる。
受験新報799号98頁(最判昭28・9・25民集7-9-979など)参照。[法的判断枠組み(条文、判例)]


2017年9月2日(5)
刑法31/ 各論8/ 306/ 公務というだけで業務と同程度の保護に値しないとはいえないので業務としても保護されるべき。ただし、#妨害排除のために強制力を行使する権力的公務は、暴行・脅迫に至らない威力業務妨害への保護必要性に欠けるので限定すべき。もっとも、#偽計業務妨害には強制力は無力なので、限定すべきでない。
山口『刑法各論』2版161頁参照。[法的判断枠組み(学説)]

刑法30/ 各論7/ 305/ 公務だからといって、業務の定義にあてはまり民間業務と変わらないものが、業務並みに保護されない(消極説、身分振り分け説)のは不適当。#内容として民間類似性をもつ公務に業務と同じ保護を与えようとする公務振り分け説は、#民間と異なる意義を有する公務(議会議事など)の保護が不十分である。
山口『刑法各論』2版160頁、161頁参照。[法的判断枠組み(学説)]

刑法29/ 総論23/ 304/ 人食い虎のいる部屋に人を押し込め被害者が食い殺されたら、押し込めた者に殺人罪が成立するが、殺人者Aが待つ部屋に押し込め、Aにより殺された場合、押し込めた者に殺人罪(間接正犯)不成立。#自律性・当責性を備えたAに殺意ある限りAの行為を介し死亡結果惹起を支配したといえないからである。
山口『刑法総論』3版367頁、368頁参照。[事実の分析・評価例]

刑法28/ 総論22/ 303/ 片面的共犯は、意思疎通なく、共同加功意思ある者が、他者の犯罪行為への一方的関与である。意思疎通ある典型的共犯と、意思疎通なく単に正犯が競合する同時犯との中間。片面的共同正犯否定、片面的幇助犯肯定。#共同者間の意思疎通こそが共同正犯に特有の一部実行の全部責任を基礎づけるからである。
大越『刑法総論』4版194頁参照。[法的判断枠組み(判例。責任共犯説)]

刑法27/ 総論21/ 302/ 幇助の因果関係は正犯行為を介す必要があるが(因果共犯論・惹起説)、正犯の心理を介さず正犯行為を物理的に促進し結果との因果関係を生じうるので、#片面的幇助は肯定。しかし、共同正犯は構成要件該当事実の共同惹起だから、その共同性の担保のため意思連絡が必要なので、#片面的共同正犯は否定。
山口『刑法総論』3版366頁(大判大14・1・22刑集3-921、大判昭3・3・9刑集7-172、東京地判昭63・7・27判時1300-153など。大判大11・2・25刑集1-79など)、367頁参照。[法的判断枠組み(判例)]


2017年9月1日
/法律関係書を読み140字に圧縮してます。モチベーション維持、学んだことの整理・保存・確認用。判決文の記述・理論のままでない所もあり、 大事な所の抜け落ちや、短すぎ・理解不足などによる間違いありえます。間違い指摘・疑問提示、大歓迎。公法系2、民事系3+要件事実+倒産法、刑事系2、等
14:16 - 2017年9月1日
https://twitter.com/right_droit/status/903486702995496961

/法律関係の本を読んで、140字に圧縮してます。モチベーション維持になっています。判決文の記述・理論のままでない所もあります。 大事な所が抜け落ちている可能性や、短すぎ、理解不足などによる間違い、ありえます。 科目:倒産法、憲法、行政法、民法、要件事実、商法、民訴法、刑法、刑訴法等
20:18 - 2017年7月23日
https://twitter.com/right_droit/status/889082183079542784

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8月分ツイート(90。倒産法7、/ 憲法4、行政法4、/ 民法9、会社法19、民訴法34、/刑法10、刑訴法3) http://tl.gd/n_1sr6q0u

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