参院広島選挙区立候補予定者西田英範氏に対する質問状


令和3年3月3日
参議院広島選挙区立候補予定者 西田英範殿

東京都港区六本木6-2-31
六本木ヒルズノースタワー9階
FAX 03-3401-5417
郷原総合コンプライアンス法律事務所
代表弁護士 郷原 信郎


参議院広島選挙区再選挙に関する質問状

当職は、第一東京弁護士会に所属する弁護士で、過去に、広島地検特別刑事部長等として公職選挙法違反事件の捜査・処分に従事した経験もあり、公職選挙や公選法違反をめぐる問題に関しても、コンプライアンスの観点から、解説や論評の発信を行っているものです。
 2019年参議院選挙をめぐる公選法違反で起訴された河井案里氏に対して下された一審有罪判決が確定し、同氏が当選無効となったことに伴って行われる、参議院広島選挙区の再選挙にも重大な関心をもっています。
 同公選法違反に関しては、同確定判決により、広島県内の5人の首長・議員が、同選挙に関して多額の現金を受領した事実が認められているほか、同選挙における案里氏の総括主宰者として公選法違反で起訴された河井克行氏の東京地裁での公判でも、40人もの首長・議員らの大半が、克行氏から多額現金を受け取った被買収の事実を認める証言をしています。彼らは、本来、公選法違反で起訴され、公民権停止、つまり、一定期間選挙権もないし、選挙運動を行うこともできくなる立場ですが、克行氏・案里氏の事件が、東京地検で起訴され、東京地裁の公判が行われている関係か、被買収者側の刑事処分は現時点では未了です。
 しかし、今回の再選挙は、当選者の案里氏の重大な公選法違反が確定したことから、「公正な選挙」をやり直すために実施されるものですから、その重大な公選法違反の一方当事者の被買収者を、再選挙に関わらせることないことが、「公正な選挙」にするために、絶対に不可欠です。
既に必要的共犯の関係にある案里氏の確定判決で、被買収の公選法違反の事実が認定されている者、克行氏の公判で、被買収の事実を認める証言をしている  者は、再選挙に関与させないことは、再選挙に立候補する者としては、当然の責務です。
 ところが、既に、同再選挙で自由民主党の公認として立候補を表明しておられる貴殿の選対本部の立上げの会合が2月28日に行われた際、克行氏・案里氏から多額の現金を受け取った首長・議員が多数参加し、再選挙に向けての選挙対策活動を結束して行っていくことが確認されたと聞き及んでおります。
 貴殿は、2月26日の出馬表明の会見で、「金銭を政治の判断の動きに使うことは、民主主義においては許されることではない。だからこそ政治の改革、信頼回復に一刻も早く取り組んでいかなければいけない。今回いち早く国政の場にでて、一刻も早くこの仕組みを変えていきたい」と述べておられます。そのような政治改革をめざされるのであれば、まず、今回の再選挙で、全回選挙での違反者が選挙運動に関わることがないようにすることが絶対に不可欠であり、「公正な選挙」の大前提と言うべきだと思います。
 貴殿が、上記の選対本部の会合で確認された体制で再選挙に臨まれるとすれば、重大な違反が明らかになったことを受けて、「公正な選挙」をやり直すために行われるはずの再選挙が、また「不正選挙」になってしまい、多額の国費をかけて再選挙を行うことの意味がなくなることになりかねません。それは、公正な選挙を求める広島県民に対する重大な裏切りだと思います。
 今回の再選挙において、被買収の事実が認められる公選法違反者には、貴殿の選挙運動に関わらせないことを明言すること、そのための実効的な措置をとることを求めます。
貴殿のお考えと具体的対応について、3月8日までにご回答ください。

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