では回答します。
えーとね、どっから回答すればいいかな。
まずね、最初に説明した時にも似たような事書きましたが、質問される方の多くはなんか難しいこと考えすぎている気がします。
単に知識不足というよりは、むしろいろんなところで知識をつまんでいるばっかりに何か高度に考えないといけない暗示にかかってしまっているのではないのだろうか? と、思うぐらい話をややこしくしてしまっている気がします。
そのうえで、あえて言わせていただくと、質問を見る限りはネットゲームの仕組みや各種ゲーム仕様についてご理解されていないと推察します。

まず、説明の前に話の流れとして、ざっくり整理すると

(質問1)
dedicated serverが供給しやすいであろうXONE版の方が将来的には遅延無く遊べることになるってことですか?

(原田)「いわゆる“現行の格闘ゲーム”は2者間で繋ぐ際にマッチングサーバーは使うけど、対戦する2者が繋がってからはいわゆるP2P方式でのキー操作のやりとりだけなので、そもそもサーバーは無いんだよ(鉄拳とかスト4だとかの現行の格闘ゲームのネット対戦には要らないんだよ)。

要約すると上記のような回答をしました。
つまり、「格闘ゲームのネット対戦の基本的な仕組み」について説明をしました。
また、「遅延」についての質問でしたので、それについても答えました(サーバー介さないので、サーバーが問題で対戦のキーデータのやりとりが遅延することは無いという詳細説明)。

それらに対し、更に質問されておられるわけですが、質問の主旨が途中から「dedicated serverを使えば遅延なく遊べるかどうか」ではなく、「判定を公平にジャッジできるからそっちのほうがいいのでは?」という質問に変わってしまっています。

恐らくこのあたりの問題が整理されていないようですので、この際ですので

(1)現行のいわゆる1vs1の対戦格闘ゲームは「Dedicated server使えば遅延なく高速に対戦できるようになるのですか?」

(2)現行のいわゆる1vs1の対戦格闘ゲームは「Dedicated server使う事によって判定を公平にジャッジできるようになるのでは?だからDedicated serverあったほうが良い気がするのですが」

この2点についてお答えしたいと思います。
仕事と長い打ち合わせ終わりに一杯やりながら書いてるので多少不親切に書き殴りますが。

それではまず(1)から。

(1)への回答
まず、「Dedicated server」という言葉に惑わされて、何かよくわからない人もいるかと思います。
ここでは一旦、日本語的に単なる「そのゲームの専用サーバー」とします。というか、そういうものです。
で、次に「いわゆる現行の格闘ゲーム」の特性を想像してください。
プレイヤーAとプレイヤーBの2者間が糸電話のように直接繋がって、入力キーデータのやりとりを、1/60秒単位(数フレーム単位)で頻繁かつ高速に行う事でかけひきを成立させるゲームです。
このように頻繁かつ高速にやりとりを行うゲームの場合は、間に何も挟まず直接繋がっているのがベストです。
当然一番いいのは、ネット対戦以前に1台のゲーム機にコントローラー2つ繋いで遊ぶとか、もしくは昔のJAMMAハーネスを改造して作った対戦ハーネスで繋いで対戦するローカル方式です。
いわゆる外部のインターネットを介して対戦する場合は、サーバーなどを介さずピアツーピア(P2P)方式で2者間を繋いでキーデータのやりとりをするのが現状最適かつ最速です。
もっと言えば、互いのプロバイダ間にあるAP(アクセスポイント)などもなるべく経由したくないぐらいです。
単純に、糸電話やLANケーブルを想像してください、間にいろいろ挟まるとそれは常に遅延の原因になります。基本的にはサーバーを挟まないほうが早いに決まっています。と覚えてください。
ただ、それじゃあ成立しない仕様のゲーム(大人数が一斉にオンラインで遊ぶタイプなど)はサーバーが必要です。

では次、


(2)について答えます。
いいえ、サーバーは挟まなくても同期するように通信しているので、公平です。
仮に間に「レフリーサーバー」挟んでも遅延するだけで“いわゆる現行格闘ゲーム”には意味はありません。どうしても間にサーバーを介入させたり、第三者の何かを経由させて無駄な遅延を挟みたいのなら話は別ですが。

質問者は、「ホスト側になったほうが有利である」と思い込んでいらっしゃるようですが、その認識に間違いがあります。
基本的対戦プレイヤーAと対戦プレイヤーBの2者間のネット回線上でやりとりしているのは「入力キーデータ」を「互いに送受信(たがいにやりとり)」しているだけです。
そして互いのゲーム機本体で処理しています。
質問者は、「どちらか一方つまりホスト側がすべてのキーデータを処理して、それを相手側に送信するのだからホスト有利なのでは」と想定しているのだと思いますが、そうではありません。
例えば「鉄拳タッグ2」や「鉄拳レボリューション」の場合は先に説明したとおり両者間ではキーデータだけをやりとりし、違いに処理して確認しあうという通信ですので、いわゆるサーバーでいうところのホストサーバー役がどっちとかそういうのは無いです。
東京に住んでる私のゲーム機と、大阪に住んでる友人のゲーム機の間をとてつもなく長い通信対戦ケーブルで繋いでいると想像してみてください。
基本的にはどっちがホストとかそういう話ではなく、2者間で単純に操作入力の応酬を行っている。ただそれだけの話です(ゲームのルールの便宜上、ホスト側というものは存在しますが、いわゆる「1P側」「2P側」と呼ぶのとかわりません)。

例えばMMORPGなんかはホストサーバーに近いほうが有利ですよね。当然ですが。同じくPCの非同期型のマルチ対戦FPSゲームなどで、自宅にホストサーバーを立てて世界中の人と遊んだ経験のある人はわかると思いますが、この場合もホストやホストサーバーに近い人が基本的に有利です。

ですが、“いわゆる現行の対戦格闘ゲーム”の場合は上記のような仕組みではないし、どっちがホストでもなく単純に互いにキーデータをやりとりしているだけなので、「その格闘ゲームが独自に何か計らいをしていない限り」有利不利は無いです。少なくとも鉄拳やキャリバーは無いですし、私のお知り合いの範囲が開発されている格闘ゲームもほぼ同様の作りです。

わかっていただけたでしょうか?

というか、もしこれでご理解頂けない場合は、

「原田はネットゲームの仕組みを解っていない、Dedicated serverのなんたるかもデデンネのかわいさもテディベアのなんたるかもデリケートゾーンがなんなのかも知らない、ゲーム開発者でもなんでもない単なる夏期講習の臨時講師として現れる謎のヒゲ石油王である」

と解釈していただいてOKよ。

ただ、少しでも理解していただけたのなら、是非ゲームに対してもう少しシンプルに興味を持って接していただく事を願って止みません。
そうしていただければゲームを楽しむ時間が増えますし、我々開発者も浮かばれます。

RT@FaceOff0711
ご回答ありがとうございました。ただ、私の咀嚼不足なのかわかりかねるので一度お聞きしますが、例えばデディケイテッドサーバーを採用しているcod:Ghosts,titanfallではこの件に関して
プレイヤーホストサーバーの方式でオン対戦するときにはその判定やマッチで発生した出来事がホスト役プレイヤーの帯域幅やレイテンシによりラグが発生し、ホスト役以外は遅延を感じますよね?
そこでディケイテッドサーバー方式を採用することでこのホスト役を事実上第三者に委任するわけですよね。例えとして、デートとパーティと仰いましたが、これはプレイヤーAとプレイヤーBとその二人の当たり判定を公平にジャッジするレフェリーのような縮図になると思うのですが。
しかし、今回の回答を見る限りそのレフェリーを挟めば余計なことになるというように仰っています。
根本的に、プレイヤーホストサーバーがいいのかデディケイテッドサーバーと考えたときに、ホストを取れなくて不利になるという点だけを考えれば後者の方がいい気がするのですが間違いなのでしょうか?
またこれにはデディケイテッドサーバー自身の性能が大きく関わっていることはわかっています。
しかし、敢えてXBOX ONEに向け今回MSが用意していたとなればそれ相応の(どれくらいの規模かはさっぱりわからんけど)気がするんですが、それを利用するのは根本的に間違っていることなんでしょうか?

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RT @FaceOff0711 質問なんですが、X360とPS3の回線の相性はサーバじゃなくて人によるって仰ってましたけど、となるとデディケットサーバが供給しやすいであろうXONE版の方が将来的には遅延無く遊べることになるってことですか?


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Harada_TEKKEN からの回答

いろんなネットワーク情報得て行くうちにみんな良くわからなくなっちゃてんじゃないかな?極力簡単に説明しますね。
「いわゆる現行の1vs1の格闘ゲーム」は対戦者同士がマッチングされた後はざっくり言うと「ゲーム機同士で直接通信している状態にある」、と考えて下さい。
つまり対戦中のプレイヤー間には、「なんちゃらゲームサーバー」やら「うんちゃらゲームサーバー」なるものはなく、いわゆる中央サーバー的なもには介さないわけですから「現行の格闘ゲーム対戦中のキーデータのやりとり自体にはサーバーは関係ないんだな」と解ると思います。

例えば数千人規模で繋がる現行のMMORPG場合はプレイヤーとプレイヤーの間にゲームサーバーがありますよね?
互いのプレイヤーの入力などをサーバーを介して送受信しています。
いわゆる現行の格闘ゲームのほとんどは、そのようなサーバーを必要としていません。
勿論、「戦績データ」等々、ゲーム独自のなんらかのサービスなどは別途サーバーを使用する場合はあります。ゲーセンで言えば、バーチャや鉄拳が戦績保存していたり、ライブモニターのリプレイ保存などがそうですね。
ただし、このサーバーはあくまで対戦中のキーデータのやりとりとは関係ない外部サービスのサーバーなので対戦ゲームのレスポンスとはなんら関係ありません。

なので、将来的に例えば格闘ゲームと呼ばれるものが現行のものとは少し違って、対戦ステージに数百人現れて、MMOのレイドのようにみんなで同時に殴り合いを始めるようなゲームになるなら、様々中央サーバーなどが必要になってくるでしょうね。
でも、現行の1vs1対戦格闘ゲームは、キーデータを高速でやりとりする為にプレイヤー間にサーバーを必要としません。
なので、プレイヤー同士の相性つまりお互いの回線状態が最も重要なんです。
普通にインターネット通信上、プレイヤー同士の間がどれぐらいの距離で、いくつのアクセスポイントを通過するかとか、通信障害、パケットロスの頻度がどれぐらいあるかとかで決まるということです。
あと、格闘ゲームはキーデータのやりとりだけが基本なので、そんなに多くのデータ量を一度に送るわけではないので、太さよりも速さとエラーの少なさのほうが重要だったりします(ゲーム機1台ずつ程度なら、の話)。

なんとなく理解していただけましたでしょうか?
多くの対戦格闘ゲームが上記の仕組みを使う限りにおいては、次世代機だろうが現行機種だろうがPCだろうが、なんとかサーバーがあるから云々は対戦中のパフォーマンスに影響するのはそこじゃない、という事です。

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